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鉛フリーハンダの問題

image 環境問題により鉛フリーハンダが一般的になったプリント基板実装業界では、共晶ハンダに比べて様々な問題が発生します。
鉛フリーハンダは一般的に96.5%錫、3%銀、0.5%銅という構成で価格の安い鉛が入っていないことから共晶ハンダに比べ値段が2倍〜3倍程度価格が高いものです。また鉛フリーハンダは融点が高いためハンダを溶かす温度を上げるか時間を延ばさないといけません。その為製造工程におけるランニングコストは上がります。
二酸化炭素の発生量を考えると決して環境にいいものづくりとは言えませんが、鉛問題の方が環境問題に重要なのです。更に自動ハンダ槽などで使用する場合、ハンダカスの発生率が格段と高くなるため捨てる量も増えてしまいます。






引け巣の問題

鉛フリーハンダ付けで実際起こる不良問題では引け巣というものがあります。
引け巣とは半田クラックのような外見でハンダ付け状態にヒビが入っているような状態です。引け巣の発生のメカニズムははっきりと分かっておりませんが、従来の共晶ハンダでは融点が183度で固相線と液相線が183度でしたが鉛フリーハンダの場合液相線が220度、固相線が217度で凝固、溶融の間のタイムラグで発生しているのではという見解です。
リフトオフの問題も同じようなメカニズムで発生していると思われます。各メーカーの見解ではこれらの不良問題で発生しても製品のハンダ付け品質は問題がないと発表しているところが多いです。それぞれ振動試験や温度サイクル試験をしてもヒビの成長は見られなかったとのことです。


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ウイスカ問題

鉛フリーハンダ付けで発生する問題ではウイスカというものもあります。
ウイスカとは錫などの亜鉛系の金属から発生するヒゲ状の金属結晶です。発生のメカニズムはハンダ付けされたハンダの残留応力により金属の結晶が押し出されます。時間と経過と共にウイスカは成長し長いものでは9ミリ程度まで伸びたとの報告があります。発生は数時間で発生するものもあれば数ヵ月後に発生するものありまちまちですが環境により成長度に差があるようです。
このウイスカがコネクタやICといったリード部分に発生すると隣のリードに接触しショートしてしまう可能性がありかなり深刻です。発生対策としてはリード部分にコーティングを行ったりして封じ込めることが一般的です。


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